オットー・ネーベル【アスコーナ・ロンコ】この絵が訴えてくるもの

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寂しげな表情で故郷を思い出す女性。

しかしそれはまるで二日酔いの時に感じるような、ゆらゆらした曲線とモヤ、そして説明可能性の怪しい色彩表現でイメージされた故郷。

 

 

そんな故郷に、馴染めない女性。

彼女はもう、戻れない。

自分が育った故郷、かつてはその故郷の毎日を飾る風景の一部分であった自分も、今でははっきりと浮いてしまう。

自分の存在と、故郷とが、はっきりと、しかし柔らかなタッチのラインで区別された。

「ここはもう、あなたのいる場所ではありませんわ。」

 

 

この巨大かつ拒絶された顔は鮮やかな黄緑色の涙を流している。

豊かさの象徴とも言えるその黄緑は、しかし、この故郷には不自然であるように感じられる。

!?!?

彼女の流す排泄物さえ、この故郷にとっては美しすぎるのだ!!

彼女の涙ひと粒の輝きが、この故郷の輝きと等しくあれたのは、遠い遠い過去のこと。

このあまりにも残酷な真実はしかし、彼女も故郷も覆すことができない。

 

ここは今はもうない世界。

彼女の目に笑いが戻る時、10時10分の時は動き出す。