【翠凛堂】suirindo

ITのことを中心にコーヒーや音楽、本のことを書いています。

アサヒビール大山崎山荘美術館ーモーリス・ド・ヴラマンク

 

アサヒビール大山崎山荘美術館に行ってきて。

ここの「地中の宝石箱」で見た一枚の絵のことについてずっと考えている。

www.asahibeer-oyamazaki.com

 

 

「モーリス・ド・ヴラマンク」 “雪景色” 

 

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イメージこんなん。

 

 

このヴラマンクという画家は徹底した自由主義者で、何者にも縛られず、自分の才能のみを信じて生き抜いた人らしい。

 

 

その画家の姿が投影されているのかは知らないけれど、ここで見た絵に登場する人物は陰鬱で、どんよりとした、「幸せ」や「希望」なんかが示す「光の世界」とはまったくかけ離れた世界の、道の真ん中に、ポツンと立っている。

 

かろうじて「人間」と分かるくらいまでデフォルメされた人間、クシャクシャっと書かれた人間。

 

こうした印象を持った後に、ひとつ重要なことに気が付いた。

 

 

彼はどっちを向いているのだ??

考えてみた。

 

①こっちを向いているとしよう

とすれば、彼は今いるこの道の向こうの、暗く、乾いた、何千万人の死を引きずって断ち切れていないような世界から、やってきていることとなる。

一歩一歩、鑑賞者である自分と、こちらの世界へ近づいてきていることになる。

 

 

②向こうを向いているとしよう

とすれば、彼は自分だ。今いるこの道の向こうの、暗く、乾いた、命の脈動を拒むような世界へと、向かっていることとなる。

その後ろ姿に自分のイメージが投影され、雪に足を取られる道を行く。

 

 

 

さて、ヴラマンクはどうイメージして中央の人物を描いたのだろう?

 

・・・!

もしかしたらこの人物は、ヴラマンク自身を含めた誰か特定の人物ではなく、特定の集団

ー自分の思想=自由主義にそぐわない思想を持つ団体や社会の伝統、教育などー

を批判するために作った人形なのかもしれない。

 

 

とすれば、①・②のどちらでも説明がつく。

 

①のようにこの人形がこっちを向いているとすれば、ヴラマンクが拒絶する世界からの使者が徐々に近づいてきていることを示す。

 

②のようにこの人形が向こうを向いているとすれば、これはヴラマンクのメッセージとなる。

「君たちの行く先の世界には、きっと光なんてないぞ。」という。

 

 

 

・・・正解は分からない。

ヴラマンク自身についても昨日知ったようなものだから、彼がどんな人だったかなんてよく知らない。

ただ、ただ彼が遺した1枚の絵を観て、「こんなメッセージがあるのかな」と思うことはできる。

そんなことを楽しめばいいような気がしている。