金閣寺-三島由紀夫

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美しさと虚無の象徴としての-金閣

主人公の前に立ちはだかり、言葉を持たずして心に関係してくる。

 

 

僕も、この金閣のようなある象徴を持ったことがある。

彼にとっての金閣のように、なにかの行動の手前にはたびたびそれを思い出したりしてずいぶんいろんなことを考えさせられた。

 

といっても、僕の場合は、美の中心に鎮座するそれの周りに円を描いてどの位置からどうアプローチしていくべきか、ということをずっと考えていたから彼とはけっこう違う。

生きる実体としての軽やかな重量感があったし、時に言葉でもって直接的に話しかけ語りかけても来た。

 

主人公にとっての金閣の美しさは、宵闇の背景を必要としてそれがあってこその輝きという表現もあったけれど、僕にとっての比喩的なその金閣は背景なんてどうでも良かった。

夏の朝露に草花が濡れている、爽やかな湿度、ミストのような風が通る、生きる喜びに満ちる光の中にあってさえ、ひときわ輝く。

光が光に融け、より光らしくなれるような、穏やかでまた生の躍動感に心が嬉しくなる。

過去の僕にとっての美の象徴は、彼にとっての金閣とはその命が輝く世界の構成図がまるで違うようだった。

 

金閣寺‐三島由紀夫

どうしてかずっと避けてきた作品だった。

いま、少しづつ読み進めている。

もしかしたら、今だからこそ素直な心で読めているのかもしれない。

と思う。