「英雄の書」という本を読んだ。
数年前に読んだものが、ポプラ新書にて再度刊行されたからだ。
脳科学の知識に裏付けされた、脳の進化について説いてくれている本。
とてもおすすめ。
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(149)英雄の書 すべての失敗は脳を成長させる (ポプラ新書) [ 黒川 伊保子 ] 価格:864円 |
理解しやすいし、何より説得力がある。
AIのシンギュラリティがなにかと叫ばれている現代において、人間である我々はどう対応していけば良いのかということについても詳しい。
AIに喰われてしまうのが怖いと思ってしまう人は、これまでの自助努力について反省した方が良い。
私見ですが。
いま、「AIに仕事が奪われる」だなんて脅してくるメディアや本が山のようにあるが、こんな俗悪な煽りにやられてしまうくらいなら本当にAIに勝てない未来が来てしまう。
AIに仕事が奪われる人に共通することは、自分で考えることができないということだ。
誰かから教えてもらった機械的なことしかできないから、単純なことしかできないから、そしてそれ以上を学ぼうとしてこなかったから今になって危機を感じている。
こういうことが言える。
つまり、進化していない人。
さらに言えばテクノロジーが進化している反面、相対的に退化している人。
毎日毎日同じことの繰り返しをして、そんな日々が数年後数十年後も続けられると感じている人。
今日はこうしよう、明日はああしよう。
そうして試行錯誤を繰り返して創造的刺激的な諸活動から自分にしかできないことをする、生み出す。
これこそがAIではなく、人間がやるべきことだ。
「飽きる」その理由は自分が進化していないからだ、とはよく言われることであるがまさにその通りだと思う。
しかしこれは丸々個人の責任とは言えないのかもしれない、ということを落合先生の「日本再興戦略」を読んで思い出した。
かつて前世紀の日本人たちは創造性を削がれ、大衆として操作されてきた。
そこでは個人の価値観は薄く低く見積もられた。
大切なことは、大衆にいかに同化するかということのみであった。
つまり、考えずに流されることこそが世の中に受け入れられるポイントであった。
そんなマス尊重時代から急変した世界だ。
当然、適応できない人もいる。
そしてそんな人たちをますます退行させるかのようなアイテムの登場。
スマートフォン。
一日のうちでスマホ(SNSやゲーム)に長時間触れる人ほど学力・収入・創造性が低いということは、すでに様々な統計が明らかにしているところだ。
”考えられる”人たちは、子供も含めてそんなスマホとの上手な付き合い方を考える。
その一方
”考えられない”人たちは、大人も含めてそんなことすら考えない。
ひたすらゲームに夢中になり、あるいはSNSに没頭する。
こうした観点においてもやはり、デジタルデバイドは存在する。
デジタルデバイドとは、コンピュータやインターネットなどの情報技術(IT:Information Technology)を利用したり使いこなしたりできる人と、そうでない人の間に生じる、貧富や機会、社会的地位などの格差。個人や集団の間に生じる格差と、地域間や国家間で生じる格差がある。
後者にあっては、当然利用されている側だ。
データを吸われ、お金を吸われ、それらは企業や開発者に還元されていく。
そうしてまた貧富の差が広がっていく循環構造が言うまでもなく明らかだ。
こんなの悔しいではないか。
私はもちろん、自分は利用している側だと考えている。
これまでも、そしてこれからも考えることを続けていくし、そこから得られるものを貪欲に吸収していくつもりだ。
その積み重ねのおかげでいまの自分がある。
しかし、こうした人間はもはや少数となっていることを理解した私は、日本人それ自体の母数が加速度的に減少してく人口構造の中で、この現状を許せないと感じた。
私は私で、こうあるから良いというものではないのだ。
私に持てる力で、この流れを逆転させたい。
日本再興戦略は、そんな力をくれる一冊だった。
ちょうどいま、私はITテクノロジーを使った業務を企画する立場にある。
この格差を是正するためには、どうしたら良いか。
日本が今持っている資源を効果的に活用しながら、これを解決する糸口を模索している。
ここには、大学時代に学んだ「世代間格差」も大きなヒントを与えてくれている。
そうしてようやく、自分の使命感というものが腹落ちしてきたような気がしてきている。
もし今回のこの企画が何らかの形で世に出現することとなるならば、私はそこを足掛かりとして、さらにさらに有効な手を打てるようになるだろう。
企業の利潤率も高まり、より大きな資本力・開発力で挑戦することも可能となる。
そこに至るまでは失敗も数多くあるだろうが、きっとここに私の存在理由があるように思えてならない。
でなければ、どうして私はIT企業と縁があったのかの説明もつかないまま終わる。
その他個人的な理由はさておき、ネガティブなニュースばかり巡るこの世の中を変える一手を打つ。
これが私の目下の使命である。