翠凜堂[suirindou]コーヒーサロン

いつの間にか雑記ブログ((´∀`))

ロング グッドバイ

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レイモンド チャンドラー作

村上春樹訳

ロング グッドバイ(the long goodbye)

 

3回目(たぶん)読み終えました。

今回の新たな発見は、

こんなにも”IF”の可能性をぺしゃんこに潰してくる(きっとあのシルヴィアの頭のように)小説は他にないな。

ということ。

 

 

この物語の、そしてその内部の事件が進むのは一本道であり、どこに枝分かれするのも許されなかった。

なぜか??

すべてはマーロウとマディソン大統領の思し召しのためにーー

 

 

 

物語の初めから終わりまで、マーロウに示された選択の余地や可能性はほとんど、いや全てにおいて他者から持ち込まれたものだった。

 

この事件から手を引け。それが身のためだぞ。

ーyes . no

 

この依頼を受けてくださらない?

ーyes . no

 

私と結婚してみない?

ーyes . no

 

ギムレットを飲みにヴィクターズに行かないか?

ーyes . no

 

すべての答えは、マーロウ哲学の裁判にかけられ、判断される。

そこに異議を申し立てようが、ヤクザや警察がこぞって脅そうが、一度出した判断は揺るがない。

 

それによって、その後自分の身に降りかかるあらゆるものをマーロウは受け入れるし、肯定する。

 

[そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない]

今回、一番気に入ったマーロウのセリフ。

 

 

ある物事の展開を見るとき、好ましいものとそうでないもの、最低2つのルートを読む。

どちらに転ぼうと、それはすでにマーロウの見ていた未来になる。

 

 

 

マーロウの周りで、3人の男女がいなくなった。

警察によれば、マーロウ次第ではそれは防げた可能性があったと言う。

しかしマーロウにとってそれは、誰かが意図的に防ぐようなものではなかったし、そうなったということはそうなる他なかったのだろうということ。

 

成り行きに逆らわないというのもまた、マーロウだ。

 

そうして、物語のラスト。

テリー・レノックスは姿を変えてマーロウのもとへ帰ってきたが、そのテリーをマーロウは拒絶する。

 

似たような構図は、前にもあった。

戦争で死んだと思われていたテリーが、元恋人アイリーンと再会したとき。

アイリーンがふたたび彼を求めることはなかった。

 

[私の中でテリーはもう死んだ。あの燃えるような恋はもう夢の中にしかないの。]

 

マーロウも、こんな気持ちだったのか。

テリーはもう帰ってこないほうがよさそうだ。