詩作

夏の前日 秋の初夜 冬の街灯 春のソプラノ

夏の前日 秋の初夜 冬の街灯 春のソプラノ 夏の前日。 美大生の男が主人公の恋愛漫画。 内容ももちろん好きだけれども、このタイトルこそどうしようもなく好きだ。 そんな“夏の前日”に比肩するその他四季表現を考えた。 夏の前日 秋の初夜 冬の街灯 春のソプ…

ねこの影

手を繋いで歩いた やわらかな掌 京都鴨川 草陰からふいに ねこ 影の融和 一匹の影 律動する影 湿った涼しい夜風

メメントモリ

メメントモリ 君が死を思うとき 生が君を思うだろう 自分の手から離れてゆく君を もう一度ブランデーに浸してやりたい気持ちをひた隠しにして 生がいつものように、君の内臓の巡回をしていたそのとき 死はすでに神様に話をつけていた 今日 君は生の思い出の…

今日の太陽は容赦なかった

道化 火で熱した鉄仮面を、顔にはめる。 熱い。痛い。抵抗する。 ジタバタジタバタ。 皮膚は焼かれ、顔と密着した鉄仮面。 冷える頃には、鏡に映るその姿こそ自然のものに見える。 今度は、剥がす方が大変だ。 ベリベリベリベリ。 元の素直な皮膚は息をして…

青の代償

純粋な青を守るために、黒を捨てる 黒を捨てるために、赤を拾う 赤を拾うと、緑もついてくる 緑を... 行き交う色の数々に、困惑する青 純粋な青とは そのモデルは空想となる

泳ぐ男

どこにもない流れの中を 一本の糸にカラダを委ねて 上っていく男 水深の浅い川を 君は泳いでいる 歩くことを忘れたのかい 水は彼のカラダの半分も触ることなく 延々と流れ続ける

それでも朝が来る

それでも朝が来る 寝不足な君に贈ろう それでも朝が来るのだと どうしたってやってくるのだ 街に光が差し込み、世界が動き出す 白いステージが始まる 夜の役者は息を潜め、影の世界へと退いていく 君がどちらの住人だろうと、そんなことは関係がない 誰にだ…

少年2

寝不足の少年が 通りを歩く せっせせっせ 働きに出る カラスの群れとともに食事をし、 いつの日かのフクロウの出現を待つ 彼は戦った 火を絶やすな フクロウに出会う唯一の条件を、 彼は知っていた 遠い日の夜明け 駈け出す少年 歌声の残響が、そこに残った

探求

おれは彼を 連れ出さないといけない 光の差し込まない暗い部屋から 朝の気怠さのなかから手招きをして ああ 君は そこにあるはずのないものを見つけようとして 躍起になった 右手にマッチを手にして シュッ 君は手にした僅かな時間で 魂を探す

跳躍

君を追い続けたその裏側に、本当の姿が見えてきたようだ 君の持つたくさんの魅力 磨かれた美しいダイヤモンドの面々のよう そのすべての角度から君を探求した僕は、ついに君を飛び越してしまった 君を取り入れ、融合した今日の僕は君には見えない 跳躍した僕…

飛行

目が開くと、現在地がわかった 早くここを抜け出して、外へ、外へ 青い光が差した向こうは、若葉薫る木陰 風は吹いていないけれど、颯爽と飛ぶ 羽根は乾いた空気に乗って 力への意志に導かれた 灰色のこの場所を 優しく溶かして ゆっくりゆっくり ここに辿り…

少年

寝不足の少年が 夜道を歩く せっせ、せっせ 灯りのない道 緑が視線を投げかければ ギラつく赤色反射する 焦る少年振り向く老人 後から来たか先に行くのか どこまでいっても満たされぬ この好奇心は悪魔のものか 彼は何故歩くのか 黄昏時にはフクロウが 姿を…

腹の内

君の中にあるものを、すべて吐き出してみなよ さあ、はやく その声かけに慌てた彼は、急いでその準備をした。 右手の人差し指をナイフに変え、自分の胸と腹を、首の根元からヘソにかけて、勢いよく一気に切り裂いた。 シャッという音とともに血しぶきが目に…

言葉

落とした言葉の重さを指で計って 君の腕力以上のものを放っていたことに気づく 見送られ、流れた言葉を、鳥がつつく そして、どこかへ飛んで行った

崩落

脳の贅肉が、身体をむしばみ 新しく生まれんとする命を、呑み隠してしまう どこの回路も封鎖中 出てきたところで期限切れのパンのよう こうなることが予想できたなら 遠く向こうに見えた百合を 君は欲しただろうか

寝不足の少年が

寝不足の少年が 通りを歩く せっせせっせ 働きに出る カラスの群れとともに食事をし、 いつの日かのフクロウの出現を待つ 彼は戦った 火を絶やすな フクロウに出会う唯一の条件を、 彼は知っていた 遠い日の夜明け 駈け出す少年が 声の響きは、歌声に似ている